THE MAD CAPSULE MARKETSアーティストレビュー

今回リコメンドするのは、「THE MAD CAPSULE MARKETS」。活動休止を発表してはや一年、ここで改めて彼らの音楽的アプローチの軌跡を振り返っていきたい。

 今では、もはや言うまでもなく「世界のMAD」となった彼らだが、その音楽の移り変わりは誰が聴いても明らかなものだ。そこで今のところ最も新しいアルバムの「CiSTm K0nFLiqT」を比較対象とし、彼らの音を紐解いていきたい。

 まず、この「CiSTm K0nFLiqT」という作品、全く個人的な見解ではあるが、広義での終着点である。結論から言えば、今後どのような音楽性をマッドが展開するのか、全く想像ができないと思ったことがこの所以だ。作品を発表するたびに良くの悪くも進化し続けていた彼らが、そのスタンスでできることを全てやり尽くした、それがこのアルバムを 一通り聴きこんだ上での感想である。

 しかしスタンスと言っても、デビューから見ると表面的にはかなり流動した。それでもそれはあくまで表面的に、であるから徐々に支持を勝ち得たことに繋がっている。この場合の支持とは、単にキャッチーな楽曲の比率が高くなったからだとは当然言えない。

 そもそもマッドのデビューアルバムの「P.O.P.」は当時にしてはバリバリのハードコア、アングラ臭全開のとてつもなくポリティカルな作品であった。ビジュアル全盛というバックグラウンドを考えてみれば、どれだけ強烈かは聴けばわかる。それは、そのムーヴメントの中心にいたhideや今井寿をも興味を示してしまうほど、異色だった。暴力的で、人間の弱いところをきれい事抜きで真摯に表現したこのアルバムは、今も僕の中でモストの位置にある。

その姿勢で駈け抜けた初期マッドだが、7thの「4 PLUGS」から様相を変える。もともとYMOの影響か、随所に散りばめられていたデジタルの要素をこのアルバムで一気に開放する。だが、デジタルを使うバンドは今ならいくらでもいる。しかしこの「4 PLUGS」はそれとは劇的に違った。感覚的にものを言えば、他のバンドがするような電子音に乗っからず、支配したのだ。そのことが後の8th「DIGIDOG HEADROCK」や9th「OSC-DIS」の成功にも直接作用しているとも言えよう。

そして迎えた11thの「CiSTm K0nFLiqT」。これはヘヴィなものはよりヘヴィに、ポップなものはよりポップにというように2つのスタイルにしっかり境界線を引いた。今までの作品以上に、である。

初期にヴァイオレンスでヒューマニティーな楽曲、中期でデジタルとの接触、そしてその展開へと繰り広げられた彼らの音楽。私のような一般人はここで終着点と結論付けてしまったが、もし活動が再開されればきっと僕らが予想だにしない驚きを与えてくれるに違いない。それができるのは僕の知る中で今は、マッドし かいない。

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