DREAM THEATER「Train of Thought」CDレビュー


現代のプログレッシブHR/HMの代表的バンド、DREAM THEATERのバンド史上、最も攻撃的でタイトなアルバム。アルバムジャケットが象徴するように、その音像が与える印象は、余分な装飾の無い、内省的な白黒の世界そのものである。

コンセプトアルバムとして、視覚的なまでにドラマティックな展開を構築し、彼等が超一流の表現者である事を改めて我々に知らしめた前々作「METROPOLIS PT2:SCENES FROM MEMORY」、膨大なアイデアを自由気ままに放り込み、まさしく<プログレッシブ>な世界を作り上げた前作「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」に続くこのアルバムは、1,2,3のようにヘヴィで今までに無い程正統派ヘヴィメタル的な楽曲と、要所要所に効果的に配置されたドラマティックなパートが聞き手を存分に彼らの世界観へと引き込むB、D、E、Fのような楽曲とで構成されており、10分前後の曲が連発されていながらも中だるみなど全く感じさせない、一切遊びの無いソリッドなアルバムとして仕上がっている。(Aなどの中間部にいい意味での遊びはあるが)

意識的なまでにヘヴィメタリックな音作りと、一切の贅肉を削ぎ落としたスリリングな曲展開はアルバムを通して貫かれており、そこには必要以上の感傷は存在しない。
それはつまり、この作品が、彼らの作り出すメロディックな部分をこよなく愛するリスナーにとっては少々辛いアルバムとなる可能性を含んでいるという事を意味する。この作品に限って言うなら、あえて彼らはリスナーを限定するかのような方向性を選択している。

James Labrie(Vo.)の攻撃的なヴォーカル、Jhon Myung(Ba.)の唸りを上げるがごときベース、Jordan Rudess(key.)の楽曲を覆い尽くし隙間を埋め尽くすキーボード(ピアノ)、Mike Portnoy(Ds.)はいつものように裏を叩きまくり(笑)、そしてJohn Petrucci(Gr.)の過剰なまでに(時に神経質なまでに)、あえて弾いて弾いて弾きまくるギタープレイ。

これらは一にも二にも彼等自身が(精神的に)純粋なヘヴィメタルバンド以外の何者でもないという事の宣言に他ならない。メロディ派のDREAM THEATERファンは一聴して物足りなさを感じるかもしれない。しかしながら、このアルバムを聞き込んでいくちに、本来HR/HMが持つべきダイナミズム、有り余るテクニックが次々と生み出すアイデアを聞き、感じる楽しさを発見するかもしれない。それらは、最初に感じた物足りなさを補って有り余る満足感へと導く可能性をもっている。そして、これまでのアルバムがそうであったように、今回のアルバムもまた、今後の彼等の作品へと確実に繋がっていく重要な作品として存在していくであろう事は間違いない。

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