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このアルバムは絶対、当「エクスパンド（拡張）」版で買うべき。
　前作『Hear In The Now Frontier』で、2曲を除いてグランジに転向。ファンを混乱に陥れたクイーンズライク。そしてメイン・ソングライター：クリス・デガーモが衝撃の脱退。「もうライクも終わりか…」という中で発売された7作目。タイトルの『Q2K』は勿論、コンピューター・プログラムに於ける「2000年問題」＝「Y2K」をもじったもの。ライクの「2000年、問題（作）」という訳だ。自虐的なタイトルが、少々同情を誘う（苦笑）。

　1曲目が、いきなり16ビートで始まるなど、前作ではまだ控え目だったグランジ路線が、冒頭から全開だ。重いリズムに、ジャラジャラしたギター。ラフな歌い方…。クリスタルの如き神々しさは、何処にも無い。が、しかし、歌メロは前作より勢いがあって、ロックっぽさは意外に残っている。とは言え、せっかくの歌唱力・広い音域が活きる場面は殆どない。強いて言えば、2曲目の「Sacred Ground」が、ブリッジで跳躍を見せるなど、ある程度Ryche節なくらい。

　「リマスター＆エクスパンド」と題された、当再発売盤だが、「拡張」として追加された2曲が、実は最大のセールスポイントだ。時代もあり、なるべく高音の歌い上げは抑えている感じのメロディーではあるのだが、往年のサウンドが、この2曲では残されている。クリーンで美しい演奏、真っ直ぐな歌唱。意味の深い歌詞。本編のどの曲より、クイーンズライクらしいサウンドである。クレジットはバンド名義だが、恐らくデガーモが残して行った曲だろう。

　後のアルバム『Tribe』でデガーモをゲストに迎えるなど、関係はある程度「修復」しており、それで収録可能になったのかも知れない。

ライクの佳作
リマスターとの事ですが正直、音の向上は、分からないです。まあ、１９９９年に発売されてる作品ですので、音は元々イイ時代ですので・・・。
正直、原盤を所有しているファンには、旨味は、ボナトラくらいでしょう。
熱心なファンは、昨年に発売してる輸入盤を所有してるのでないのでしょうか？
国内盤の発売が遅すぎる感じがします。
アルバムの内容としては、楽曲の完成度が高い曲と、そうでない曲の差があります。
クリス・デガーモが脱退した後の、初のアルバムですので、全体的に、バンドとしての
方向性に迷いも感じられます。





埋もれた佳作
大不評だった前作「Here in the Now Frontier」の余勢を引きずったせいもあり、今回RHINOから再発されるまですっかり埋もれてしまっていた1999年発表のアルバム。

大まかな作風はその前作と同様グランジの息がかかった現代的なアメリカンHR。
全盛期の売りだった様式美HMの要素はすっかり失われてしまったが、短期間制作で彼ららしからぬ詰めの甘さが目立った前作とは違い、RYCHE特有の緻密で前衛的なリフワークの復活・健在を感じ取れる。
デジタルな感触のサウンドプロダクションもなかなか良いスパイスになっている。

メロディの性質や仕掛けの多い曲構成など最新作の「Operation:Mindcrime II」に通じる部分も多いため、同作からから聴き始めた新しいファンにはなかなか楽しめるアルバムになっていると思う。
RYCHE入門用とするにはやや荷が重いし、古参のファンには間違っても手放しでお勧めできるような作風ではないが…。

なお、新たに収録された未発表曲２曲はともに従来のRYCHE寄りの音楽性のため「これ本編に入れときゃも少しマシな評価だったろうに」とすら思わせるｗ
本編中盤のハイライト曲であるBreakdownを大胆にいじり倒したRadioEdit ver.もなかなか。

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