ハードロック/ヘヴィーメタルCD専門通販

１９６９年アポロ11号月面着陸で人類のイマジネーションは宇宙へ・・・。
ロックの醍醐味は大仰な世界観だと思う。
ビートルズも日常世界の恋愛ソング・メーカーから
空想世界の語り部としてステップ・アップし
そのアーティスト性を確固たるものにした。
時代はエレキ・ギターやオルガンを歪ませ
サイケデリックな心象風景の描写や
シュールな言葉遊び感覚の詩を歌に乗せていた。
そんな中、現れた本作のタイトル・ナンバーだが
HRという表現方法にSF的ファンタジー世界を盛り込むという手法は
音像的にも時代背景的にも非常にマッチした。
過剰にデフォルメされた恋愛歌詞と云えば、それまでだが
当時としては楽曲的にも、かなり激しい部類に入るであろう、この曲の
世界観を表現する歌詞としては抜群の組み合わせだと思う。
第３期のBurnでの「街に火を放つ魔女」は「女性の復讐」を比喩的に表現したものだが
これまた、「伝統に囚われない新しいタイプのHR」の歌詞として充分に機能している。
このバンドが残した数曲の、こうした浮世離れした空想HRは
後に新興するHMという音楽性を歌い表すのに際し
暗黒的なブラック・サバスの世界と共に雛形的に重要な役割を果たすことになるのだろう。
ちなみに、求愛・失恋をブルージィな匂いが残る曲調でエモーショナルに歌い上げる曲等と
上記の様な空想HRが混在している、この時代の不自然とも云えるバランス感も
個人的には丁度良い、というかジャンルではなくアーティストの多面性を楽しむ的な
聴き方が出来て嫌いではない。
最後に・・・「かっこいい！」がロックの良さの一つであるなら
惹き付ける魔力で本作のタイトル・ナンバーの右に出るモノは無いと思う。
(かのイングヴェイ・マルムスティーンは子供の頃に、この曲のオルガン・ソロを聴いて
クラシカルな旋律(ハーモニック・マイナー・スケール)に興味を持ったそうです。)

ハード･ロック化第二弾！
前作でハード・ロック化したディープ・パープルの第二弾。この時代に良くあることだけど、ツアーの合間に制作されたため、ライヴ感の強い作風に仕上がっている。それが功を奏しているのがアルバム・タイトル曲の1。当時としては珍しいツイン・バス･ドラムをフィーチャーしたスピードチューンで、今でも充分スリリングに感じる。

この他、呪術的なギター･ソロが聴ける2、キャッチーな3、カントリー風の4、ドラム・ソロに使用された5とそれなりに聴き所はある。ただ、アルバム後半はちょっと退屈かもしれない。その反省が次作で生かされるわけだけど。

奥ゆかしきハードロック
Ritchie Blackmoreは本作を嫌っており、Ian Gillanは本作がお気に入りということで知られており、買わず嫌いの方々もいると思うが、皮肉にも本作のBlackmoreのギタープレイは恐ろしいくらい大胆かつ繊細である。『IN ROCK』の混沌性や『MACHINE HEAD』の構築美に挟まれて過小評価されているが、ありきたりのハードロックに留まらない、本物のハードロックである。隠し味にジャズなどの多彩なジャンルの音楽が使われており、聴いていて悪い意味での疲労感は感じられない。いわば本作は「奥ゆかしきハードロック」のように私は思っている。

→Fireballの商品詳細ページへ