伝説のチャンピオン 〜ファイナル・ライブ・イン・ジャパン〜 / QUEEN

■ビデオ収録曲
1.ティア・イット・アップ
2.タイ・ユア・マザー・ダウン
3.アンダー・プレッシャー
4.愛にすべてを
5.キラー・クイーン
6.輝ける7つの海
7.炎のロックンロール
8.ライアー
9.永遠の誓い
10.ナウ・アイム・ヒア
11.悲しい世界
12.ラブ・オブ・マイ・ライフ
13.地獄の道づれ
14.ハンマー・トゥ・フォール
15.愛という名の欲望
16.ボヘミアン・ラプソディー
17.ラジオ・ガ・ガ
18.ブレイク・フリー(自由への旅立ち)
19.監獄ロック
20.ウイ・ウィル・ロック・ユー
21.伝説のチャンピオン
22.ゴッド・セイウ゛・ザ・クイーン

■発売元・BMGビクター
■1992年発売
■収録時間90分
■定価4,800円
■種別・ライブ

◆「伝説のチャンピオン 〜ファイナル・ライブ・イン・ジャパン〜 / QUEEN」解説 〜

　世界で大人気を集めたフレディ・マーキュリー率いるカリスマ・バンド「クイーン」は全てに於いて素晴らしかったですね。ではこの作品の詳細はビデオにインクルードされているインナーからお届けしましょう!

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　1992年4月20日、私はその日、イギリス、ロンドンの「ウェンブリー・スタジアム」にいた。まるで真夏のような暑い一日、良く晴れ渡った青空に太陽が西に傾きかけた夕方6時、ステージにブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、そしてジョン・ディーコンが登場。両脇に設置されたスクリーンに3人の顔が写し出された瞬間、私は不覚にも目頭が熱くなった。感慨無量といった表情の彼等の顔を見た瞬間、なぜか胸が一杯になったのだ。
　この日、「ウェンブリー・スタジアム」に7万余の大観衆を集め、昨年亡くなったフレディ・マーキュリーの追悼コンサートが行われたのだ。この時の様子は新聞や雑誌でも多く報道されたので御存知だろう。今年始めに発表された、この追悼コンサートの詳しい内容は直前になるまで分からなかったが、私はなんとしても会場に駆け付けるつもりでいた。それは多くのクイーン・ファンが抱いている感情とは、少しばかり違うものだったかも知れない。何と説明したら良いのか分からないが、どうしてもその場に、いなければいけないような気がしたのだ。
　1973年にクイーンがデビューして以来、私は音楽雑誌「MUSIC LIFE」の編集者として、彼等のバンドとしての成長と共に、自分の仕事を通して多くを学び、成長したという実感がある。初めて会ったのは忘れもしない1975年の4月、彼等にとって初めてのアメリカ・ツアーの最中、ニューヨークだった。それ以来、数え切れない程、取材し、コンサートを観た。おそらく私が編集者だった頃、最も多く接する機会のあったバンドがクイーンだったと思う。取材がスムーズに進まず悩んだこともあった。腹を立てたこともあった。原稿のシメ切りが迫り、胃が痛くなるようなこともあった。あれも、これも今となっては、すべて良い経験、思い出だったと思える。そんな気持ちを胸に私は「ウェンブリー・スタジアム」にいた。私なりにフレディ・マーキュリーへの追悼に参加したかったのだ。

　コンサートは大成功のうちに幕を閉じ、出演したミュージシャンは誰もが熱演だった。集まった観客も、すべての人間が「ありがとう、フレディ」という気持ちだったと思う。次々と有名アーティストによって歌い継がれていく代表曲を聴きながら、誰がどんなふうに歌っても、完成された音楽性を感じさせ、改めてクイーンという希有なバンドの個性を確認した。ライザ・ミネリが歌っても、アクセル・ローズが歌っても、楽曲そのものの魅力を感じさせたのだ。誰もが本当に素晴らしい歌と演奏を聴かせてくれ感動的だったが、皆が熱演すればするほどフレディの不在が大きく感じられたのも事実。エルトン・ジョンが素晴らしい熱唱を聴かせた「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン」は、最後のアルバム「イニュエンドゥ」のなかで、私が最も好きなナンバーだったが、遂にフレディ磁針の歌で、この曲をステージで聴くことが出来なかったのが残念でしかたがない。だが多分、これは私の感傷なのだろう。最後は涙でステージがぼやけて見えた。そして、こういうことで泣ける自分が幸せだとも思った。
　クイーンがフレディ・マーキュリーの死によって、その長い歴史を閉じて以来、多くの映像が再び脚光を浴び、いくつかが再発売されたり、日の目を見た。そのどれを見ても、彼等の美意識と高い音楽性、強い個性を感じさせて見事だが、日本のファンにとって、まさに待望とも言える幻の映像が、こうして発売になるとは予想もしていなかった。今、あなたが手にしている「伝説のチャンピオン/ ファイナル・ライブ・イン・ジャパン」は彼等クイーンが、日本のファンに最後に姿を見せたことになる1985年5月の来日公演時、11日の国立代々木競技場でのものだ。当時、NHKの音楽プログラム「ヤング・ミュージック・ショウ」で放映された本巻は、その番組では未放送の曲も含まれている。ファンにとっては思いがけないプレゼント、いや当日会場にいた人にとっては、宝物に匹敵する映像かも知れない。この6度目の来日を終えた7月、彼等は「ライブ・エイド」のステージに立ち、その後しばらくライブ活動から遠ざかる。翌年、大々的なヨーロッパ・ツアーが敢行されたが、それがクイーンとしての最後のツアーとなった。私は「ライブ・エイド」での彼等のステージが最後となったが、多くの日本のファンにとって、この「伝説のチャンピオン/ ファイナル・ライブ・イン・ジャパン」は最も貴重な作品になるだろう。
　この'85年の来日公演は、この映像を御覧いただくと分かる通りベスト・オブ・クイーンとも言える構成で、初期の作品「炎のロックン・ロール」から、比較的後期のヒット曲まで網羅されている。映画「メトロポリス」で使用され大ヒット・ナンバーとなった「ラジオ・ガ・ガ」を日本のファンが、ステージで初めて(そして最後に・・・) 聴いたのも、この公演でだった。ちなみに当時、未放送だった曲目を紹介すると「愛にすべてを」(個人的に大好きな曲だ! )「キラー・クイーン」「ナウ・アイム・ヒア」「ラブ・マイ・ライフ」「ハンマー・トゥ・フォール」「ブレイク・フリー/ 自由への旅立ち」、そしてエルウ゛ィス・プレスリーのカバー・ナンバー「監獄ロック」。
　当時、フレディ・マーキュリーが初めてのソロ・アルバム「Mr. バッド・ガイ」を発表した直後でもあり「クイーン解散か?」という噂が流れたことも覚えている。「もしかしたら、今回が最後の日本公演になるかも・・・」という不安は結局、解散ではなくフレディの死という形で、現実のものになろうとは誰も予想だにしていなかったはずだ。勿論この時も取材でメンバー全員とインタビューしたが、特にソロ・アルバムを出したばかりのフレディの生気にあふれた、はつらつとした姿を思い出す。「初期のナンバーから、現在のものまでを取り入れた構成は意図したものなんだ。ファン・サービスになるし、自分達で演奏していても楽しいからね。でも、あまり昔の曲は忘れている部分もあって、例えば「輝ける七つの海」のピアノのイントロがこんなに難しいとは思ってもいなかった。」こう言って大笑いした元気なフレディの笑顔を、今でもはっきりと覚えている。
　コンサートは映画「メトロポリス」からヒントを得たという大がかりなステージ・セットを背に、まず「ティア・イット・アップ」で始まり、継いて「タイ・ユア・マザー・ダウン」へと続く。次々と展開する華麗なクイーン・ワールドの見事さは、今さら繰り返して言うまでもない。ハードなロックン・ロールをやったかと思えば、オペラティックなスケールで魅きつけ、更に、譬えようもなく美しく、悲しい旋律でファンを魅了していく。ブライアンのアコースティック・ギターを伴奏に歌われる「悲しい世界」「ラブ・オブ・マイ・ライフ」の美しさには絶句だ。このライナーを書きながら観ていて、この場面では涙が流れた。そしてアンコール前、ファンが「We Will Rock You! 」と大合唱するなかを、イギリス国旗と日章旗を掲げてフレディが再登場する場面は、更に感動的。
　ファンの皆さんに、クドクドと彼等クイーンの素晴らしさを説明するのは愚かなことだと思う。他の誰よりも、あなた方が一番、彼等の、フレディの音楽を理解していたと思うし、愛していたはずだから・・・。この映像に先がけて再発売された'82年、カナダ、モントリオールでの映像「ウイ・ウィル・ロック・ユー」のライナーにも書いたが、あなた達はクイーンと同じ時代に生き、そしてその素晴らしい才能に巡り会ったことに感謝してもいい。その幸運に恵まれたのは、ファンだけが知る特権なのだから・・・。

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　ではでは「クイーン」の魅力溢れるライブを90分間思う存分お楽しみくださいね!