Indwell / ペニシリン

■ビデオ収録曲
KISS
Violet

■発売元・パイオニアLDC株式会社
■1996年発売
■収録時間50分
■定価6,800円

◆「Indwell / ペニシリン」解説 〜

●ビデオインナーより

『HUMAN DOLL』『QUARTER DOLL』に続いてリリースされるペニシリンの第3弾ビデオは、LAとニューヨーク、そして国内と3ヶ所で撮影された。アルバム『VIBE∞』で聴かせたサウンドのヴァリエーションは4人のメンバーの個性が顕著に出た現れであり、それはこのビデオ作品に観られるソロ映像という形でさらに色を濃くしている。今回の作品の趣旨は、自分のイメージで楽曲を作り、シナリオを考え、さらに自分で演じるという所にあった。これまでさまざまな姿で自らを脚色し演出してきた彼ら、アルバムではバンドという形においてサウンドで表した独特の世界観を、ここではさらに細分化した個人の特色として見事に体現してくれているのだ。

　まずは千聖。元々が洋楽志向だった彼がここで聴かせるサウンドは、ギター・インストゥルメンタル2曲。しかも自然的なものと人工的なものという両極端なシチュエーションに自分を置き、前者では広大な砂漠をバックに伸びやかなギター・プレイを、そして後者ではサイバーパンキッシュなアクターに徹したアグレッシヴなパフォーミングを展開する。そこに隠された"人間が溺れて行く様を嘲笑う"といった奥の深いテーマを思い浮かべながら観ていただけると、映像のおもしろさだけではない、メンタルな部分が見えてくる。ヘリコプターを使った空撮のダイナミックさも見所だ。

　アルファベットが溢れるアニメーションに始まるO-JIRO編は、道化師役の年輩の俳優さんを助演に、魔法の城に迷い込んだり、何かに追いかけられて逃げていくシーンなど、まるで"不思議の国のアリス"さながらの夢と現実を織り交ぜたファンタジックなストーリーを演じていく。そして目が覚めて、すべて夢物語?と思いきや再び意外な展開に・・・と、いかにも彼らしいシニカルな展開を見せていく。使われている楽曲やO-JIROの演技の可愛らしさに相反するストーリーの裏にある難解な実話を深読みしてみると、まるでグリム童話の様な挿話が出来るかもしれない。