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歌唱力はともかく、楽曲の充実度は声優ＣＤとしての最高峰
いかにも色物然とした1stアルバムから翻り、大勢の実力派アーティストから楽曲提供を受けて制作された、宮村優子の2ndアルバム。とにかく当時彼女は飛ぶ鳥を落とす勢いの人気声優で、ビクターもかなりの制作費を投じたと思われる作品だ。（演奏家も一流のスタジオミュージシャン揃いである）

楽曲の充実度は目を見張るほどで、殆ど捨て曲のないクオリティ。しかし、雑多な作家陣（関口和之、高波敬太郎、周防義和、保刈久明、`島邦明、鈴木慶一、及川眠子、濱田理恵、等）を使ったせいで、まとまりや統一感には欠ける印象である。いくつか、楽曲を紹介しておこう。

(1)Pi Pi Pi‥爽やかでストレートな80年代風ポップス。一番キャッチーな楽曲だが、みやむーはアップテンポの曲は苦手なようだ。
(2)平成偉人伝‥ベタなビートルズ風サウンドにポップなメロディ。PUFFYに近い路線だ。
(3)SKINDO-LE-LE‥阿川泰子のカヴァー。舌っ足らずなフレンチロリータ風の歌唱。
(8)Heart Crown?こころのかんむり‥幻想的なアリス風のファンタジー。力強い朗読が印象的で、本作の白眉。
(11)KANON‥ライブで歌われる事の多い、みやむーの代表曲。パッヘルベルのカノンの翻案。伸びやかな高音が美しく、感動的な楽曲だ。
(13)だいじょうぶの笑顔‥90年代に流行った「人生応援ソング」の一種とも言えるが、肩肘張らないまったりとしたメッセージは、みやむーらしい。

楽曲や演奏は本当に文句なしだが、宮村優子の個性に合っていたか？というと疑問なアルバム。
その後、ビクターは色々な方向性を模索したのだが、結局「アーティスト・宮村優子」像を確立できないまま、人気と売上の低迷によって、音楽活動は終息していった。
宮村本人も、歌手への意欲や歌唱力の向上は余り見られなかったが、林原めぐみや水樹奈々のように、自分に向いた楽曲の方向性を掴んでいたら、もうちょっと違った歴史があったのかも知れない。

声優だから
　声優は、アニメのキャラクターに声と感情をつけるアニメ声優、または、外国映画の吹き替えをする外画声優にほぼ分かれる。
　この人の場合は前者なのだが、ジャパンアクションクラブ（通称： JAC）に所属する役者（今なら、「仮面ライダーなどの特撮系に出演しているスタント要素も持つ役者」といえば通じるだろうか？）でもある。
　つまり、歌には関わりが少ないのだ。
　よって、失礼だが、歌手としての力は低いと思える。
　それでも、このCDが２ndであることからして、購買層があり、歌唱力が全くないわけでは決してない。
　
　だから、それをどう思うか次第なのだ。
　つまり、あなたがこの人を「たくさん兼業してる。すげー！　よし、買うぞ！！」なのか「どれが結局本業なの？よくわかんない。」なのかが決め手となるだろう。
　あなたはどちらですか？