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確かに中途半端
始めに結論を書くとするならば、初めて「犬神家の一族」のサントラ（当然、DISC-2の76年度版の方ですよ）を購入する人にとっては、良い買い物ではないでしょうか。

リメイク版を担当した谷川賢作氏の楽曲のDISC-1の方は聞き所はありません。せいぜい「愛のバラード」が挿入された一部の曲と、同様にエンディングぐらいなものではないでしょうか。あとは、Atmosphere系シンセをチョロっとならしたような効果音的なBGMや、大野氏を意識したような矩形波のシンセメロディーを使った曲作りなどはしてはいますが、大野氏のそれには、まったくかないません。谷川氏は他の市川作品（探偵もので例えれば「八つ墓村」や「天河伝説殺人事件」）でも部分的に作曲をされていますが、どれもあまり良かったものは無いように思います。

さて、他の方も書かれていますが、金田一シリーズのアイテムをほとんど購入されている方々にとっては、ボーナストラックが気になるところなのでしょうが、以前のサントラを持っている方は、よほど「犬神家の一族」に特別な思い入れがない限り、あまり必要はない感じがします。
第一にボーナストラックすべてがモノラルであることと、音もあまり良い状態とは言えません。演奏的にも精彩を欠く部分がありますので、映画で使用したバージョンというより、テスト、もしくは没になったバージョンが含まれているように感じました。特に、「愛のバラード」は映画での繋ぎ方（端折り方）とはまったく異なります。（特にこの辺のようにウソの記載を平気でおこなうような商品は良くありませんね）

といわけで、以前のサントラを持ちながらも、ちょっとかじってみようという人には中途半端に聞こえますし。結構映画を何度も見てサントラとの違いを把握しているようなマニアな方にも中途半端に感じるはずです。


これでは、マニアガックリ・・・
1976年公開当時映画館で鑑賞、EP、LPその他アレンジ物と、テーマ曲（愛のバラード）を聞き込んできました。今回の発売で注目したのはもちろん、おまけ扱いの「ムービーヴァージョン」のテーマ曲でした。しかしガッカリしました。このＣＤで特に旧作に期待した方は同じ気持ちなのではないでしょうか。リメイク版の方ははっきり言って聴いておりません。ムービー・・のテーマ曲はあきらかに「別（没）ヴァージョン」です。映画を鑑賞された方でオープニング（画面が暗くフェイドアウトして突然、タイトルバックが大きく出現した）と同時に流れたこのテーマ曲にゾクゾクした人は多いのではないでしょうか？その時のテーマ曲と同じではないのです。楽器音がこもっていてバランスがひどく、ダイナミックさがないのです。また今回の旧作ＣＤの１曲目は初期ｱﾅﾛｸﾞＬＰ版と以前発売のＣＤと同じです。これも私に言わせればロング・アレンジヴァージョンなのです。そうです、ＥＰ盤が映画版に限りなく近いのです。映画使用版はこのＥＰ盤を部分的にはしょっています。サントラと称して何故こんなにヴァージョン違いが正規盤として市場に出るのか理由はわかりません。どなたか述べていましたが、大野雄二作品としての色が出過ぎてるのでしょうか？ですので曲中使用されてるダルシマの響き、映画同様のミステリアスな曲想を堪能されたいようでしたらこのレヴューでは不本意ですがＥＰ盤の入手をお勧めします。３０年来この曲を愛聴してきた私のこだわりです。
最後に、ボーナストラックの「那須の金田一耕助」があったためこのＣＤの価値１つ★をつけます。

あと一歩。
ほとんどの方が、ディスク２の大野氏バージョンが聞きたくて購入した事と思います（自分もそうです）。ボーナストラックが追加され、ファンにはたまらないオマケですが、本当にこれだけ？って感じがします。クレジットにも、ボーナストラックセレクテッド　早川何がしと記載されているところを見ると今回収録されなかったテイクもまだ眠っているのでしょう。
７６年公開版では、発売されたサントラ盤のマルチをいじって劇中に使用されたという事実から、全曲本編で使用された形でリリースして欲しかったです。もっとマニア向けにしないと。